株式会社住建設計

広島県動物愛護センター

建築主
広島県(PFI事業 SPC:広島未来動物共生株式会社)
用途
動物愛護センター
所在地
広島県三原市本郷町上北方字用倉山11352番
構造・階数
木造・地上2階 他
敷地面積
14,132.02㎡
建築面積
1,782.42㎡
延べ面積
2,024.70㎡
工期
2022年11月 ~ 2023年6月
施工
大之木建設株式会社
URL
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/apc/

~森に佇む犬と猫の舎(イエ)~

本計画は、犬・猫の保護を目的に昭和55年に建設された旧動物愛護センターの移転・建て替え計画である。

昭和55年に建設された旧動物愛護センターは、①犬猫の個別管理できる構造となっておらず感染症対策が不十分なことや②譲渡用犬猫の効果的な展示施設がなく返還譲渡を促進できる構造ではないことから、今回PFI事業としてこれらを改善するために新センターの建設が求められた。

 県から掲げられた本事業の基本理念は、①譲渡促進、②命の大切さを発信、③人が集まる、④災害時に使用可能な施設、⑤感染症対応の5つである。

そこで本計画では、中でも①~③について、かつての「殺処分するための施設」という動物愛護センターの印象から「生かすための施設」にイメージを転換し、様々な目的のために多くの人が集まり、「命の大切さ」について学ぶことのできる動物愛護センターを目指した。

◆地域性と象徴性に配慮した外観デザイン

 本センターが位置する広島県三原市本郷町は、赤茶色の瓦屋根の民家が今でも多く立ち並ぶ地域である。この本郷の風土・風景を参照しつつ、「犬と猫の舎(イエ)」を想起させる切妻屋根の家型が立ち並ぶカタチにするとともに、広場に面する3つの家型の妻面は赤茶色に塗装した杉板を使用することで、訪れた人々が親しみやすく、それでいて印象に残るような象徴的な外観デザインとした。

◆広場と建物がつながる配置計画

 広島空港に近接した山間にある本敷地において、道路側から敷地奥へと向かって駐車場・公用車車庫・防災倉庫、芝生広場・イベント広場、屋外便所・倉庫、本体建物を配置して、広場と建物がつながる計画とした。また、山手側に本体の動物収容エリアを配することで落ち着いた環境にすることと、敷地周囲への音対策に配慮した。

◆「命をつなぐ」数珠つなぎの平面計画

犬と猫の距離感や個別管理のために中庭を取り囲む分棟的配置とし、研修・事務・収容・検査・譲渡展示の5つの機能を数珠つなぎに並べ、保護→検査→収容→譲渡と機能的な動線に配慮して、野良犬・猫を保護して譲渡するための「命をつなぐ」平面計画とした。

◆新センターのイメージづくりと使われ方に配慮した素材選び

新センターのイメージアップと用途の特性に応じた耐久性や清掃性を確保することに配慮して各部の素材・建材を選定した。

外壁材の選定について、家型妻面は県産材のスギ、その他は木目調の窯業系サイディングとして、施設っぽさをなくし家のような親しみやすさを表現した。また、外観が単調になることを避けるため、妻面のスギは赤茶色、その他の部分のベースは茶色、広場側の家型は黒色として3色を使い分けた。

内装材の選定について、床は清掃性・防滑性・耐薬品性などを考慮してエリア別に複数種類のビニル床シートや塗床を使い分けた。壁について、水洗い部はコンクリートの腰壁を立上げて清掃性に配慮し、動物との触れ合いエリアは木の腰壁で温かみを出し、一般部は16種類のビニルクロスを使い分けて来訪者が楽しめる計画とした。

また構造は木造とし、室内に木部を表しとすることで温かみのある建物とした。

 成犬ケージは清掃性や安全性、脱走防止対策や日々の餌やりのしやすさなど、多角的な視点から働き手とともに検討を重ねてオリジナルの設計とした。

旧センターから移設した慰霊碑は、動物慰霊祭の際に人々が集えるよう芝生広場の研修室側に配置。

 

木造の柱梁を表しとし、腰壁や天井などにも木材を活用した研修室。

 

高天井で開放的なエントランスホール。右手に研修室、左手に窓口や事務室。

 

エントランスホールから廊下を臨む。ボリューム毎に壁面の色を変えて目的の場所がわかりやすいよう配慮。

 

水洗いやメンテナンスに配慮しつつ、木造の温かみが感じられる計画とした犬検疫室。

 

吸音性や調湿効果があり火にも強い天井材。

 

木の腰壁で温かみのある内装とした犬ふれあい室。中庭を活用した犬とのふれあいも可能な計画。

 

広場側からも中の様子が感じられる譲渡猫展示室。正面の窓は外から子どもでも覗ける高さに設定。

 

広場に面して配置した譲渡犬展示室。

 

道路から人々を迎えるアプローチ部には赤茶色のレンガタイルを使用し、本体との色調に配慮。
塀の手前に見える石は掘削時に出たものを再利用。

 

周辺との山並みに調和する家型の本体外観。写真左下が道路からの出入口。

 

夕景の本体。建物内外の照明は温かみのある色温度で統一。

 

夕景の本体、アプローチ側から。

 

夜景。